ボケ老人いろいろ
    こんなドリフのコントのような世界があったなんて・・・・
   笑い事ではない、高齢化社会の実態。
   家族だって、手におえないのだから、看護婦にだって、手におえない。
   可愛いボケ方、たちの悪いボケ方、ボケ老人も様々です。
   どうしますか?自分の親がこうなってしまったら・・・・
   明日は我が身の洒落にならない世界をご覧ください。
じーさん、じーさん!
  手術後の70代後半の女性を、夜間のスタッフが多いICUで看ることになった。
 たいした手術でもないのに、人手が多いというだけで、そういう患者さんを預かることも少なくない
 一風変わったICU。(ICUじゃないだろう!!)

 
それでなくても、病棟よりもICUという特殊な場所で、夜間ボケてしまい、訳わからなくなる人が多い
 というのに・・・・手術後なのに、点滴を引っこ抜いて、血まみれになったり、安静制限があるのに
 歩いて、転んだり・・・傷口をふさいでいるガーゼを外したり・・・
 色んなことをやらかす、それがボケ老人というものなのです。

  その女性は、比較的おとなしく夜もぐっすり寝てくれた。おっとなし〜〜じゃん!
 時々、寝ぼけて何か喋っている。そんなのは、全然OK!どんどん、喋ってくれ。
 歩いて転んで、事故届を提出するより、ましまし。

 「じーさん、ほれ!じーさん、ほれ!」声を高らかにして、じーさんを呼んでいる。そのじーさんが
 生存しているのか、それともあの世なのかは、忘れてしまったけれど・・・
 カーテンの隙間から、そっと様子をうかがうと・・・・・( ̄□ ̄;)!!
 ~(^◇^)/ぎゃはは
 寝巻きの間から、自分のオッパイを引っ張って、じーさんを呼んでいた・・・・・
 
おいしいよ♪
  80歳後半の寝たきりの可愛いおばあちゃん。ボケ具合もかなりのものだけど、動かないから
 看護婦にも嫌われない。足腰丈夫で、動けるボケほど、手におえないものはないのだ。
 彼女がやらかす悪いことといえば、点滴を抜いたり、傷口についているものを外すくらい。
 あとおむつの中に手を入れて、自分の排泄物を食べてしまうという恐ろしい経験の持ち主だと
 送り先の施設からも聞いていたけど・・・・
 
  尿道に入れる管があるのだけど、正確な尿の量を知りたい人や、動けない人に用いています。
 その管を通って流れてきた尿は、ちゃんと袋がついていて、そこに貯まり、貯まってくると排気用の短
 いホースから、捨てるようになっているのです。
 
  私も自分の勤務が終わりに近づいてきたので、「さぁ、おしっこを捨てよ〜」と思い、彼女の部屋へ
 入ると、「ちゅーちゅー」・・・・(゜o゜;;
 「なにしてるの〜!○○さぁん・・・」 「おいしいよ♪」と、にこにことしている。
 ベッドサイドにぶら下がってる袋を、管づたいに引っ張りあげたのでしょうねぇ。
 その尿を捨てるための短いホース部分を、美味しそうに吸っていたのです。
 きったないっつーの!

  別の日は、なにやら美味しそうに口を動かしていたので、見てみると・・・・
 お尻の傷口に当てていたガーゼのような特殊なものがあるのですが、それを外して、するめのように

 
かんでいました・・・・歯のない歯茎で。血の味がしたのか、膿の味がしたのかは、不明です。
アイドル
  ボケ老人たちは、昼間と夜が逆転しやすく、昼間ベッドに寝かせていると、熟睡してしまい
 夜間起きだすという、夜勤の看護婦の最大の敵となることが多いため、昼間は車椅子に乗せられ
 ナースステーションで過ごすことが少なくありません。
 どこの病院にいっても、見られる光景なのです。
 そして、かわいらしくボケてアイドル的存在になる人と、手におえなくてかなり嫌われる人、差し支えのな
 い人、大体この3通りに分類されると言っても過言ではありません。

  私がまだ若かりしきころ、何のとてつもない苗字なのに、ジョニーと呼ばれていたじーさんがいました。
 顔もでかい、下のほうもでかくて、泌尿器科の医者を、あっと驚かせた伝説のジョニ-。
 耳が恐ろしく遠く、なかなか言葉も通じないジョニー。
 ベッドに寝かせて、一人では部屋において置けず、ナースステーションの片隅にマットレスを敷いて、
 いたジョニー。
 ある日、「散歩に行くんだ」というジョニ-を車椅子に乗せて、部屋を出ようとしたら、「帽子をくれ」と
 彼に言われた。でも、ここは病院。彼の帽子なんて、ありゃぁしない。
 帽子??だって、ないもん・・・・と、思った私の目に白いタオルが、映ってしまった!
 「これで、我慢してねぇ〜」と、でかい低音で、彼の耳にキスでもするのかというような近距離で
 言うというよりも、叫ぶ?!タオルで、OKサインを出してくれた彼の頭には、白いタオルが
 どじょうすくいの人のように巻かれ、耳だけが出された。
 まるで、たこ????と、笑いたくなるのだが、彼は納得!患者さんをおもちゃにしてる?
 いやいや、そんなことはない。同意のうえだも〜〜ん
  それから、それが彼のスタイルとなってしまった・・・・。
 いまでも、一緒にとった写真持ってるなぁ〜。かわいかったなぁ〜。
 死んじゃったんだけどね・・・・
まさにドリフのコント
  昔の男は、奥さんなしでは生きていけない。亭主関白で、威張り散らしていた結果が、情けない
 老後となる。ボケたばーさんで、「とうさん、とうさん」と、夫を探す人はめったにいないけど(例外が
 上のほうに書いた、おっぱいのばーさんね)、逆は多い。
 「かーさん、かーさん」と、奥さんを探す、ボケじーさん。何人も見たなぁ、そういう人。

  じーさん:「かーさん、かーさん」
  ナース:「もう帰ったから、また明日面会にきてくれるよ」
  じーさん:「そうかい、帰ったのかい。じゃ、寝るわ。おやすみ」

   3分後
  じーさん:「かーさん、かーさん」
  ナース:「もう、帰ったよ。もう夜だからね、明日また来るから、今日は寝ようね」
  じーさん:「もう夜なのかい?そうかい、帰ったのかい。寝ようかな。」
  
   3分後
  じーさん:「かーさん、かーさん」
  ナース:「もう帰ったの!!」

   こんなやり取りが、夜中じゅう繰り返される。
  じーさんが、かーさんを探す執念はかなりしぶとい。
  ドリフのコントをテレビで見ているのは、笑えるけど、実際にじーさんに付き合うと
  笑えやしない。頼むから、寝てくれ!!と、口をふさぎたくなってしまう。  
サラリーマン
  バリバリ働いてきた人がボケると、やっぱり仕事のことを思い出すみたい。
 80代半ばで、定年退職してから、ずいぶん時も経っただろうというのに、気持ちが現役時代に
 バックしてしまう。
  突然、入院してきたときに来ていたジャケットを羽織って、「10時から会議だから、出かけます」と
 言い出す・・・・「はい、どうぞ。」といいたくなるけど、下手に歩いて、転ばれでもしたら、責任はナース。
 ナースの管理が悪いと、医療裁判になりかねない。今は、そういう世の中なのです。

 彼は、元銀行のお偉いさん。今は、ただのボケ老人。
 私たちだけでは、手におえないので、家族にきてもらう。家族の説得で、正気に戻る人も多いから
 なのだけど、年寄りを持つ家族も結構大変だなぁと思う。そんなボケ老人の子供たちは、働き盛りの
 40〜50代。仕事を休んで、ボケた自分の親のために、病院へ足を運ぶ。
 家族にとったら、いつまででも病院に置いておきたいだろうけど、病院は治療の場所であって、
 生活をさせる施設ではないので、病院からは退院を迫られる。老人ホームは、どこもいっぱいだし
 費用だって、かさむ。簡単には、行き先が見つからないのが現状なのです。
  その患者さんの家族にも、息子が二人いたが、兄弟で頭を抱えながら、病室のベッドの上で
 ボケている実の父の姿を、廊下から見つめていたなぁ〜。
 自分の親たちは、そうならないなんて思っちゃダメ。絶対に、降りかかってくる問題だ。
 もっと早くから、ボケ対策は必要なんだよ。高齢者の親を遠く離れた場所に住ませて、盆や正月に
 だけ、会っていたってねぇ〜。